経験するということ

老犬マル

老犬マル、歩く

結婚した年にうちにやって来た、我が家の賢い犬マル。ついこの間まで、散歩中は走る、飛び降りる、飛び上がるなどとても元気だったのに、いきなりてんかん発作を何度か起こし、立ち上がれないようになってしまいました。頑固で聡明で「中に人間入ってるんとちゃう?」と思うくらい、意思表示をしっかりする犬だったのに、急にぼんやりして反応も薄くなってしまったことに、こちらは戸惑い様態が落ち着いた後も、なんにも手につかず只々見守るだけでした。

家の中にいるよりも、外にいるのが好きだったので庭に出してやると、しばらくぼんやりと座っていましたが、次に見たときはヨロヨロとですが、立ち上がり歩き出していました。数時間前までは、もう会えなくなることを覚悟していたので、「歩いている」姿を見ることがとても感動的で、しばらくじっと様子を見て喜びをかみしめていました。
“生きていることは素晴らしい”と感じさせてもらえた瞬間でした。言葉やフレーズから言わんとすることを想像し、理解することが大半ですが、マルのおかげで“生きていることは素晴らしい”という喜びを経験することができました。

薬が効き、落ち着いてきているのでやっと織と染色に集中できそうです。

 


秋の色

 

秋の色

秋の色

ここ丹波地方は、秋がすっかり深まり葉っぱも黄色や赤色に色づいています。すこーんと晴れた青空を背景に見るこの景色は、思わず声が出てしまう程美しくて、感動的です。
深くて暖かくて、明るい色。たくさんの表現の仕方があるけど、昔の人は、赤系の色だと、朱色、茜色、紅葉色、黄丹、柿色、赤朽葉など、そして黄色系の色では、山吹色、朽葉色、黄朽葉、黄金色など、自然界に存在するたくさんの色を、たくさんの詩的な言葉で呼んでいました。花や葉の色、または染料の色から由来することが多いようです。
色の名前を追うと、電気のない中季節ごとに変わる太陽の光の下で色を見、愛でたのだなということが感じられます。

今週からいよいよ染色が始まります。昔の人が色を愛で、名付けたように味わい深く愛しい色がでますように!!!

 


ご褒美

染織α

染織αに載りました

染織α

ご褒美1の中身です

ご褒美がやってきました。それも二つ!
一つ目は、丹波布の技術者がこつこつと作り上げ、今も積み上げつつある“丹波布技術保存会技術者協会”の活動が、染織専門雑誌に掲載されたこと。事務局を担当している関係で、私の拙い文章が載るのは、少し気恥ずかしいですが、皆で作り上げていることが文字化され色んな人に知っていただけるのは、とても喜ばしいことです。
一人で何かを成すのも楽しいけど、色んな人と力や心を合わせて活動することも面白い。とても良い弾みになりました。

そして今日、もう一つの大きな大きなご褒美。事務局担当をしている協会の勉強会に、大正紡績の近藤健一さんが来られて、お話を聞けたこと。オーガニックコットンを日本に広めつつ、世界の様々な人に働く機会を与え、東北の震災後に“コットンプロジェクト”を立ち上げた方。
そして、「世界の平和」と「皆を幸せに」という、単純明快で一番大切なことを理念に「前と上だけを向いて」進んでいる方。色んな貴重なお話を聞けましたが、近藤さんの人柄、明るい雰囲気に触れ元気と勇気を感じられたことが今日の一番大きな収穫でした。
失礼ながら、近藤さんのキラキラした目が何事につけても超ポジティブだった私の祖父の目と、似ていることに気づき、色々とうれしい気持ちになれた一日でした。