経験するということ

老犬マル

老犬マル、歩く

結婚した年にうちにやって来た、我が家の賢い犬マル。ついこの間まで、散歩中は走る、飛び降りる、飛び上がるなどとても元気だったのに、いきなりてんかん発作を何度か起こし、立ち上がれないようになってしまいました。頑固で聡明で「中に人間入ってるんとちゃう?」と思うくらい、意思表示をしっかりする犬だったのに、急にぼんやりして反応も薄くなってしまったことに、こちらは戸惑い様態が落ち着いた後も、なんにも手につかず只々見守るだけでした。

家の中にいるよりも、外にいるのが好きだったので庭に出してやると、しばらくぼんやりと座っていましたが、次に見たときはヨロヨロとですが、立ち上がり歩き出していました。数時間前までは、もう会えなくなることを覚悟していたので、「歩いている」姿を見ることがとても感動的で、しばらくじっと様子を見て喜びをかみしめていました。
“生きていることは素晴らしい”と感じさせてもらえた瞬間でした。言葉やフレーズから言わんとすることを想像し、理解することが大半ですが、マルのおかげで“生きていることは素晴らしい”という喜びを経験することができました。

薬が効き、落ち着いてきているのでやっと織と染色に集中できそうです。