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梅の枝で染色

梅の枝で染色

どんよりとした空が垂れ込めています。毎年だと雪がちらつきそうなお天気ですが、今日は雨がしとしとと降っています。昨日上ムスメと友人とで、リトルマーメイドのミュージカルを観てきました。明るくてカラフルで素直に「楽しい!」と感じられ、衣装や舞台の作り、歌やダンスなど“ホンモノ”に触れられ、心豊かな一日を過ごすことができました。チケット代に無頓着な我がムスメは、無邪気に「もう一回行きたい!」と言っていました。喜んでくれてうれしかったのですが、こちらは「そうやね~」と遠くをみながら相槌を打つしかできませんでした 。

さて、先々週から梅で糸を染めています。赤味のある色を染めたくて、染料を保管している元風呂場をゴソゴソしていたら、2006年に切った梅の枝が出てきました。随分前に切ったまま使っていなかったので、少々不安を感じながら染めてみると、赤味が飛んだのか元々なかったのか、見事こっくりした茶色に染まってしまいました。媒染前の段階から染液や糸に入った色を見て「やばいぞ~」と思ったため、週末ムスメ達が自転車で遊んでいる傍で、家の前栽にある梅の若枝をパチパチと切り落とし、小さく刻んだり皮をむいたりして、染料としての梅をあわてて確保しました。
新鮮な梅は、煮出すと透明度のある黄色っぽい染液がとれ、それを一晩おいて染めると赤味のある茶色が糸に入ってくれました。その糸を一晩置き、風にさらし石灰で媒染した後さらに風にさらすと、少しづつ赤味を帯びてくれます。「茶色じゃないよ~、赤ですよ~」と祈るように糸を観察しながらゆっくりゆっくり染めました。そして、そのうちの一枷はおはぐろで鉄媒染し、梅鼠色に。

古い枝で取った染料は、どろっとした茶色い液が出ましたが、新鮮な枝は染まるのかな?と心配になるほどの透明度のある液でした。染料は採取に最適な時期があるのですが、保管にも賞味期限のように美味しくー染料の持つ色がきれいに出る期限があるのだな、と学びました。
そして庭や山を見渡して、採取の時期さえ合えば、わざわざ乾燥して保管しなくても新鮮なまま染料を使える環境に住んでいることに遅まきながら、はっと気づかされました。なんと恵まれた環境にいるんだと、ひとりほくそ笑んでいます。


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